良い物は良い物なのだ

周りの人がイマイチと思っても、自分が良いと思ったモノやコトをブログしようかと思ってます。連載は不定期です。

ペールゼン・ファイルズ

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ボトムズOVAペールゼンファイルズの感想です。
ガッツリ熱く語らせて頂きます。 ボトムズ知らない方、興味のないかたごめんなさいスルーしてください。
最終話まで未見の方もネタバレご注意ください。

ズバリ一言で言うならば!

「パワー不足?物足りない」

でした。。。。

主人公がいて、仲間がいて、敵(特にライバル)がいて・・・・いろんないざこざからクライマックスへ一気に走り込む・・・そういう感じがなかったんですよ

テレビシリーズは「衝撃的な出会いから始まり、謎の存在がクローズアップされ、悲しい出会いや戦いを通して謎が明かされつつも、ラストは神、ワイズマンを倒すべくクエントへ集結する・・・・」と盛り上がりがあったんですよ。


今回はちぐはぐ?



ストーリーの骨格は凄い壮大。
「異能生存体」250億分の1で発生する、生存確率の桁違いに大きい生命体(人間) が、『生存』をする為に周辺の環境をも変化させる・・・


一人の人間が、生き抜く為に惑星をも爆発させるような運命的な干渉を引き起こすという仮説・・・(結果的にキリコは生き残る)

それは、凄い壮大なんですよ。

でも、その壮大なスケール感が伝わってこない・・・・声優さんの力量?監督さんの采配?脚本家さんのスキル???アニメーターさんCG頼りすぎ??



5巻のライナーノーツを見てしまった・・・・ことに、影響受けてると思います。
脚本家の吉川さんの愚痴に見えました。 キャラデザの塩山さんとイメージが離れていたとかね、「私の力量不足でした」みたいなことが書かれている・・・・
6巻のライナーノーツでは、高橋監督もサンライズの上層部に対してか。。。スポンサーなのか、ネットなどでの視聴者の反応に対してなのか・・・決して満足をしているような雰囲気は感じとれない・・・・


スタッフの意志がまとまっていないことと、物語が見事にリンクをしている・・・・・そんな印象です。


ボトムズという確たる世界観と歴史がある作品からこそ、新旧スタッフが様々な思い入れや、方法論、表現論などが強い為に、ない交ぜとなり、バランス調整したらこうなりました・・・・という印象がぬぐえないのです。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

主人公が我が輩にはぼやけております。


キリコ??? えぇ、基本主人公はキリコですよ。でも、今回の彼は一体何の為に戦っていたのだろう?
軍からの命令にただ従い、そのうえで危機に直面したらそれを切り抜ける・・・・・・
戦争であり、軍隊であり、一兵卒であるので、至極正当な描き方なんだけど、キリコの意志が薄い印象(確かに監視者、ペールゼンを殺す・・・・というのはあるのだが、「ラストレッド~」へ引き継ぐとはいえ、ちょっとくらいキリコとペールゼンの接触(会話)があっても良かったのでは?)

それといつも以上にセリフが少なすぎるような・・・・・^^; バランス的にもちっと絡んでも・・・セリフの少なさから主人公であるはずなのに「その他4人の行動をただ見つめる傍観者」の立ち位置にも見えなくないんだよね。


今回の物語はペールゼンが主役だったと思います。
最後のどんでん返しで、今までウォッカムを完全に踊らせていたという見事な手腕!!

まぁ、キリコは「野望~」と「TVシリーズ」の間・・・と考えるのならば、今回くらいの陰の薄さが良いのかもしれないかも・・・とも思います。 


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


CGで描かれたAT

・・・・・・・・最終的には物足りなかったですね。

CGそのものを否定しません。CGを利用するにもその表現方法のベクトルが我が輩には「カチっ」とハマりませんでした。

今朝、改めて「野望のルーツ」も見たのですが、手書きのATの方が生き生きしている・・・・

アニメ故のカラクリ・・嘘。 物理法則を無視して湾曲する金属。 それこそがアニメ(漫画)の素晴らしい表現方法なんだよねぇ~。

CGだって大げさなデフォメル表現は技術的には簡単にできるけど、変に「リアルロボの代表格」というのにとらわれたかもね。
「嘘のダイナミックさ」が無くなったから、物足りない。
でも、CGだからこその表現があったし(手書きでは発想できないようなね)、CGだからこその「AT大軍隊」が表現できたのも事実。
 あとは、予算の問題なのかな・・・他のロボットアニメでもCGによる戦闘シーンはあるのだが、メチャメチャかっこよく演出出来ているのだってあるわけさ。4mだから??妙に軽く見えることがしばしば。 CGスタッフの力量???


もう一つ、

敵軍バララントの顔が全然見えない

例えば・・・・イプシロンだって血を流すから「人間だし、戦いの非情さは彼にだって等しい」と思えるし、負けた時の悔しさが伝わってくるのですよ。
そういう演出が皆無・・・輪をかけてATがCGなだけに、バララント軍はATが自動操縦(モビルドールみたいな???)なのか・・・と「血が通っている」雰囲気が伝わらなかったんだよねぇ。 


それと、キャラクター以外にものすごく考えてしまったのが

「ポリマーリンゲル液」


あまりにも「デリケートだ」ということクローズアップし過ぎないか??
「ダウン・バースト」で摂氏-200度の条件下で生存するために配合調整をする・・・それはOK。わかる。
コチャックが味でわかるのも理解しよう(w
でも、調合比率を見つけ、調整後出撃・・・・をい、ちょっと待て?????
出撃直後は-200度ではない・・・・・ポリマーの調整は-200度で行動可能にしている・・・ちょっとの配合ミスでドカン・・・・・・ではないのか????? 単なる移動ならともかく、激しい機体負担の伴う戦闘状態だし・・・・?????出撃直後は単純にオーバーヒートなのでは??????
実際調整ミスしたワップ機は爆破してるし(移動しただけでw)

あまりにも「シビアな配合調整(ミスすれば危険)」という危険性のハードル上げすぎてるような気が・・・

弾薬の数量も疑問

惑星モナド内でファッティーが大量に襲ってくる場面は確かに迫力満点だけど、その大量の敵軍を5機で殲滅するには弾頭・弾薬がどうしたって少なすぎ・・・・・^^;
リアルを追求して、4mにまでサイズダウンしたATだからこそ、「弾薬切れ→敵軍から奪取するとか、乗り捨てる」という演出は外してほしくなかった・・・・


渡河作戦・空中要塞制圧作戦

核心として「異能生存部隊の実験」の為に多くの味方兵力を失った・・・・その作戦を指示したウォッカムの責任は???(作戦意図が不明なままでも、戦死者を大量に出したという作戦失敗の事実は事実)
「野望のルーツ」のサンサ攻略作戦は、少数精鋭のレッドショルダーに依存しすぎと指摘されながらも結果を出して制圧成功したからペールゼンはおとがめ無しだった訳ですよ。

モナド制圧に「不死の部隊」だけ差し向ければ良かったのでは???不死なんだし・・・・・
せめて、ある程度の戦力を「揺動部隊」として目を向けさせ、5機のみで潜り込ませた後、コントロール制圧後に制圧したって良くないか??? 合理的でないか???? ストーリー上の無理矢理なクライマックス演出の印象が拭えません。


作品全体のパワーが足りないと、どうしても「細かな設定の甘さ」が気になってしまうんですよね・・・・

設定が甘くとも、勢いがある・・・・・小説の「ボトムズ外伝 コマンドフォークト」の方がものすごくワクワク楽しかったんですよね・・・・・・・
「不死」ではないけど、一癖もふた癖もある「超スーパーエース」を集めた伝説の部隊(レッドショルダーのような共食いなども無い、純粋な戦場で目覚ましい戦果を挙げたスーパー部隊)という似たような設定ですが、隊員それぞれのバックボーンがしっかり描かれ、「何の為に戦うか?」目的意識も明確。そして敵軍の知略家の将校や、執念に駆られたライバル・・・・

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


監督もライナーノーツなどでおっしゃってましたが、非常に難しい仕事だったと思います。

ボトムズ程世界観が固まってしまうと、おいそれと簡単にそれを崩せない。
ましてや「キリコの歴史の空白の部分」ということで、テレビシリーズの1話につなげなくてはいけないという更なる縛りもある・・・・・

我が輩も「最低野郎」のはしくれとしても・・・我が輩なりの「ボトムズに対するこだわり」がある為に、先に挙げたような点が気になってはしまうんですよね。


まずは「自分にとって?な部分」を挙げましたが、基本としては「嬉しい」んですよ。

高橋監督がメガホンとってくれた・・・キリコと再び出会えた・・・・もうそれで十分なんですよ(#^.^#)


暑苦しい野郎ばかりの物語という段階でもう「流石です!監督!」なんですよ(w

ワップとか実に愛くるしいキャラにも出会えた(www

「誰が何を考えている?」という疑心暗鬼になるサスペンス的なストーリー展開もお家芸だと思う。


それとザキの存在ってPS計画のプロトタイプ???? なんて考えたり・・・・・ある程度よい塩梅であいまいにしてくれているので「これとこれって関係ある???」みたいなイメージする楽しさはありますな^^
ザキの最期は格好良かったですよ。

そして、ペールゼンを見た後に、改めてテレビシリーズを見返してみたい

第1話「終戦」の段階で、キリコは自分のこと「異能生存者」として完全に自覚した・・・

今回はキリコが「異能生存体」であることを決定的に自覚せざるをえないエピソードだわね。
集められたバーコフ隊。「もしかして俺と同じ仲間が・・・」と思いかけた刹那、どんどん「死んでいく」。

嫌が追うにも「俺は死にたくても、死ねない。仲間となっていく奴らは死んでいく」という自覚を迫られる。

それは非常に重い十字架

だからこそ、フィアナと出会えて嬉しかったろうし、「流星」で「戦いのない世界へ」とコールドスリープを望むという動機付けが強まったよね。
それとロッチナが、キリコへ執着する流れも非常によく表現出来ていたかと。

ボトムズという唯我独尊の世界を持つからこそ「熱血スーパーロボット」のような熱い展開を求めるのは絶対間違いなんだけど、ボトムズの持つ「静かな中の熱さ」・・・そのバランスが今回は「"静か"がちょっと多いかな・・」と我が輩は感じました。

でも最後に・・・・・すべてはワイズマンがお膳立てしてるのかも・・・・そして生き残る為なら、運命的環境にすら変化を及ぼし、なおかつ本人が望まなくとも仲間の屍を踏み越えてまで「生存」を選択する遺伝子を持ち合わせた人間の運命(さだめ)・・・・・じっくりともう二度、三度と見返すことでジワジワと味が出てくる・・・・そういう作品なんだと思う。 1回の視聴では、表面しか捕らえていないのだ。


そして来年はこのPFが映画化・・・・・
総集編ではあるのだろうが、修正も加えてくるであろう、そこを是非注目してみたい。
大画面でキリコが、ATが、活躍する姿を見られるなんて、中学生の頃には想像もしていなかったよ。

長々となりましたが、以上1回見た限りでの感想でした^^;